絡新婦
女郎蜘蛛が巣を掛けるのはよく、客を待つ遊女に例えられる。
蜘蛛の怪異譚は数多く伝えられていますが、「宿直草」巻ニ、
「急なるときも思案あるべき事」では、子を抱いた若い女が青侍
の前に現れ、お前の児だと差し出すが、妖怪と知った侍はそれ
を斬り付ける。女は天井へと逃げ、あくる日見てみれば、たくさん
の死骸とともに、ニ尺ばかりの上臈蜘蛛が死んでいた、とあります。
「和漢三才図会」には、女郎蜘蛛は斑の色が美しいが、それが
かえって醜く、毒が甚だしいとされています。
<参考文献:「画図百鬼夜行」 国書刊行会>